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高森明勅
2020.5.27 06:00皇室

「公」という語の初出

初めて「公(おおやけ)」という語を確認できる日本国内の文献は何か?
聖徳太子の「憲法十七条」(604年)だ。
「公事」(8条)「公務」(13条)「公」(12・15条)という用例が出てくる。
例えば15条には以下のようにあった。
 

「私(わたくし)を背きて公に向(ゆ)くは、是(これ)臣が道なり」と。明らかにシナの『韓非子(かんぴし)』の記述を踏まえた表現だろう。これによって当時、「私」の対極にある「公」という観念が、既に明確に自覚化されていた事実を認めることができる。しかも同憲法では、民衆への豪族層による私的・個別的な支配を排除し、国家による公的・普遍的な統治を確立すべきことが、規範的な要請として打ち出されていた。つまり「公民」国家への展望だ。
興味深いのは、「公」という理念が自覚され、公民国家の構想がはっきりと
浮かび上がって来た同じ推古天皇の時代に、「天皇」という称号が初めて
採用されていることだ(608年)。

勿論、これは偶然なんかではない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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